子どもの耳鼻咽喉科疾患
耳・鼻・喉は、呼吸や飲食、聴覚・味覚・嗅覚・平衡感覚、発声と多岐にわたる重要な機能を担っていますので、異常があれば生活に大きな支障を及ぼします。子どもの場合は軽微な症状でも成長や学習、運動能力などへの影響が懸念されます。
幼い子どもは不調があってもそれを言葉にして伝えることができません。
耳鼻咽喉科疾患にかかった子どもは、下記のような様子を見せることがしばしばあります。普段からお子様をよく観察して、少しでも当てはまる場合や、耳・鼻・喉に関する不安がありましたら、当院まで気軽にご相談ください。
こんな様子があったら耳鼻咽喉科を受診しましょう
耳
- 声をかけても反応しないことがある
- 会話途中で何度も聞き返す
- 話を聞く際に片耳をこちらに向ける
- 話し声が大きくなった
- テレビなどの音量を上げる
- しきりと耳を触っている
- 耳に触れられるのを嫌がる
- 無音なのに音が聞こえると訴える
鼻
- くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが続く
- 鼻声になった
- 緑っぽく濃い鼻水が続く
- 頬や眉周辺の痛みを訴える
- 鼻をしきりと触っている
- 鼻血を繰り返す
喉
- 長引く咳や痰
- 扁桃の腫れ
- 飲食時によくむせる
- 食べるのが遅くなった
- 喉の痛みや違和感・異物感を訴える
- いびきをかく
子どもの耳・鼻・喉のよくあるお悩み
中耳炎に何度もかかります
子どもの耳や鼻はまだ成長途中であり、免疫力が弱い2歳くらいまでは風邪などの鼻や喉の炎症が中耳に伝わって急性中耳炎を併発することがよくあります。
2歳以上になって中耳炎を繰り返す場合は、急性中耳炎がしっかり治る前に途中で治療を止めてしまったことで慢性中耳炎になっている可能性があります。
当院では状態をしっかり把握しながら必要な期間の治療を行っており、聴力に影響がないかも慎重に見極めています。
中耳炎は熱や痛みなどの症状がなくなっても炎症が残っていますので、治しきることがとても重要です。慢性中耳炎が進行すると心身への負担が大きい手術が必要になる可能性もあります。
中耳炎になったら耳鼻咽喉科を受診して最後まできちんと治療を続け、鼓膜の状態や聞こえを確かめてもらうようお勧めしています。
中耳炎を繰り返して難聴になる可能性はありますか?
耳鼻咽喉科で適切な治療を最後までしっかり受けていれば、中耳炎を何度も繰り返しても聴力への影響が出ることはほとんどありません。また、当院では聴力や鼓膜の状態もきちんとチェックした上で対応しています。
風邪に耳の痛みも伴う場合、耳鼻咽喉科で風邪治療も可能ですか?
子どもの急性中耳炎は風邪に合併することが多く、38℃以上の高熱が3日以上続いている場合、急性中耳炎を併発している可能性を考慮する必要があります。
当院では中耳炎だけでなく、風邪やインフルエンザの検査や治療も行っています。風邪症状である鼻水・鼻詰まり、喉の痛み、咳といったつらい症状も、耳鼻咽喉科の専門的な検査・処置・治療で速やかに緩和でき、より早い回復や合併症予防効果にもつながります。
一般的に風邪は1週間程度で治りますが、中耳炎は耳鼻咽喉科で治療を受けないと慢性化し、聴力への悪化が長引く、心身への負担が大きい手術が必要になる可能性があります。
聴力は学習や運動への悪影響だけでなく、事故のリスクなどにも関わってきますので注意が必要です。
鼻血が出た際の正しい応急処置方法はありますか?
上を向いてしまうと血液が喉に流れ込んでしまうので、下を向かせてください。小鼻を指で押さえ、そのまま数分待てばほとんどの鼻血は止まります。
口に流れ込んできた血液は吐き出すようにします。下を向いて小鼻を数分押さえても鼻血が止まらない、またはいったん止まってもまたすぐ出てくるといった場合には、できるだけ早くご相談ください。
黄色や緑がかった鼻水が出て心配です
黄色や緑がかった鼻水がある場合、副鼻腔炎が疑われます。副鼻腔炎では、黄色や緑がかった鼻水、粘度の高い鼻水、咳や痰、頬や眉周辺の痛みなどの症状を起こします。
副鼻腔炎が慢性化した蓄膿症になると、呼吸が妨げられて集中力低下や成長の妨げを生じ、口呼吸を繰り返すことで感染リスクも上昇してしまいます。
耳鼻咽喉科では、鼻の中をきれいにする鼻吸引・鼻洗浄といった処置、超微粒子にした霧状の薬を隅々まで届けるネブライザー治療など、速やかに不快な症状を緩和する処置や治療が可能であり、副鼻腔炎をしっかり治すことができます。
耳や鼻に異物を入れてしまい取れなくなりました
子どもが鼻や耳の中に異物を入れてしまって受診するというケースは、耳鼻咽喉科では珍しくありません。鼻や耳はとてもデリケートですので、傷付けないためにも無理に出そうとせず、気軽に受診してください。
子どもの耳掃除はどのように行えばいいですか?
耳の穴の手前部分だけをタオルでそっと拭く程度の耳掃除で十分です。頻度は2歳までが3か月ごと、それ以上になったら半年ごとに行います。耳の中の汚れは自然に手前へと運ばれますので、奥の部分をきれいにする必要はありません。なお、耳掃除を奥まで頻繁に行っている方は、感染による炎症を起こしやすいことがわかっています。
幼い頃に耳掃除をしてもらっているとそれが習慣になり、手前を優しく拭くだけでは物足りなく感じてしまい、過剰に耳掃除を行って耳を傷付け、感染を繰り返すケースがよくあります。
ただし、長期間放置していると耳垢がたまって聞こえに影響することもあります。
耳鼻咽喉科では、保険適用の診療として耳掃除を受けられますので、耳掃除に関して不安がありましたら遠慮なくご相談ください。
以下の動画もご参考にしてください。
子どもがいびきをかいていて心配です
子どものいびきには、扁桃やアデノイド肥大といった喉の異常や肥満などの原因があります。また、子どもがいびきをかく場合、睡眠時無呼吸を起こしている疑いもあります。
就寝時に無呼吸状態を繰り返すことで脳や全身が酸素不足になり、成長への支障や集中力低下など深刻な影響を及ぼす可能性があります。
いびき以外に、就寝時に横向きやうつ伏せになる、寝苦しそうな様子がある、日中に口呼吸をしているといった場合には特に早急な受診が必要です。
当院では、適切な検査を行って原因を特定し、鼻をきれいにする処置、原因や状態に合わせた治療を行って空気の通り道を確保できるようにしています。
また、経過を観察した上で必要な場合には手術も検討します。